種子の旅立ち
植物の種子の散布方法は、球果植物のヒノキやサワラ、アカマツやクロマツなどのように種子に翼があり、風で運ばれる風散布が多い。風散布には、ムクゲやプラタナスなど種子に冠毛がついていて風に運ばれやすいものもあり、子孫繁栄のため様々な工夫が見られる。コクサギ (小臭木)の種子散布方法は、熟した果実の外果皮が裂けると、種子を包んだ内果皮が弾けて種子を飛ばす自動散布です。
コクサギ (ミカン科の落葉低木)の果実と種子。果実の外果皮が開いて内果皮が弾けて種子を飛ばそうとしている。
コクサギ の果実。果実は4個に分果していて、それぞれに一個の種子が入る。この果実は、内果皮が外果皮の裂け目から現れて、種子を飛ばそうとしている。2個の種子は飛び出していて、外果皮は種子を出しても元のまま閉じる。
飛び出したコクサギ の種子。種子の大きさは直径3mm位の黒い球形で、平らな所では、コロコロと転がります。実際に種子が飛び出す瞬間は、観察できませんでしたが数メートルは、飛ぶようです。
ムクゲ(木槿 アオイ科の落葉低木)の果実と種子。ムクゲの果実は秋につけ晩秋から冬にかけて熟し、冬の時期、風が吹くと裂けた果実から種子が飛び出す。種子には綿毛のような冠毛が生えていて、風に飛ばされやすいようになっている。
ムクゲの果実と種子。果実はさく果で5裂し、開いた果実の枝に手を触れただけで、カサカサと音がなり種子が飛び出す。
ムクゲの種子。種子の大きさは、約4mmの腎臓型で、縁には長さが約3〜4mmの冠毛が多数生えている。
プラタナス(スズカケノキ科の落葉高木)の果実と種子。冬木立の中で枝からぶら下がっているプラタナスの果実は、強風などで落下し、やがて硬い果皮が裂けて冠毛を多数つけた種子が飛び出す。
プラタナスの種子。種子は長さ、約10mmで先端が膨らんで尖り、長さ7〜8mmの多数の冠毛で包まれる。冠毛の付いた種子は風などで飛ばされやすい。
プラタナスの果実。果実の大きさは、約3.8〜4cmの球形で、硬く尖がった種子が集合して堅果を作り、一個の果実に数百の種子がついている。
プラタナスの果実の断面。乾燥した堅果の中心部は、木質化して硬くナイフを入れてもなかなか割れません。
球果植物の種子には、風散布がしやすいように種子の縁に翼が付いている。植物の種類により種子や翼の形は様々です。
クロマツの球果と種子。1個の鱗片には、2個の種子がつく。閉じていた鱗片が開いて種子がヒラヒラと落下します。
クロマツの種子。種子は約4〜5mmの楕円形で、翼を入れると15〜17mmの長さがあり、トンボの羽のような翼です。
アカマツの種子。クロマツの種子とほぼ同じ大きさで、翼の幅がクロマツより少し狭い。
ヒマラヤスギの種子。種子は、約15mmの倒卵状三角形で、翼を入れると3.5〜4cmの大きさです。
ドイツトウヒの種子。種子は約3mmの円錐形で、翼を入れると15〜17mmの長さで、翼に丸みがある。
ヒノキの種子。種子の大きさは、約3〜4mmの楕円形で縁に翼がある。
サワラの種子。種子の大きさは、約3mmの楕円形で縁に広い翼がある。
アスナロの種子。種子の大きさは、約4〜5mmの楕円形で縁に翼がある。
スギの種子。種子の大きさは、約3〜4mmの長楕円形で縁に翼がある。
メタセコイアの種子。種子の大きさは、約4〜5mmの長楕円形で縁に翼がある。