モクレンとコブシ
モクレン(木蓮)もコブシ(辛夷)も同じモクレン科の落葉広葉樹です。公園や街路に良く植栽されていて、どちらも4月頃に開花し、一つの花に雌しべと雄しべがある両性花です。モクレンは花弁が開かないため雌しべ、雄しべが見えないのに対して、コブシは花弁が全開するので雌しべ、雄しべを見ることができます。モクレンは中国原産で日本には自生しませんが、コブシは日本の各地に自生しています。
モクレンの花。高さ3〜5mの落葉低木で、濃紫色の花弁は開かないため、上から覗かないと雌しべ、雄しべは見えない。花弁の下に開花と同時に新芽が出ている。中国原産でシモクレン(紫木蓮)とも呼ばれる。
雌しべと雄しべ。淡紫色の雌しべは柱状に集まる。雄しべはらせん状に雌しべを取り囲む。扁平な棒状の雄しべは片側が裂けて花粉を出し、雌しべには多数の花粉がついている。
モクレンの冬芽。冬芽は大きく鱗片には細かい毛が多数ついている。 3月22日
ハクモクレン(白木蓮)。落葉高木で10〜15m以上になる。早春の頃、葉がつく前に咲く。コブシと花弁が似ているがハクモクレンの花弁は全開しないのと、くっついていないので区別ができる。 4月12日
ハクモクレンの若い果実。果実は袋果で熟すと果皮が裂け種子が出てくる。葉は大きく倒卵形で先が少し突き出ている。
コブシの花。落葉高木で白い花弁は全開する。6枚の花弁はくっついていて、ハクモクレンより幅が狭い。雄しべから花粉は出ていない(上)4月12日。雄しべから花粉が出ている(下)4月16日。
雌しべと雄しべ。雌しべは柱状に集まり、雄しべはへら形でらせん状に雌しべを取り囲んでいる。この雄しべは、両側の隙間から花粉が出ていて、雌しべにも花粉がついている。
受精後の雌しべと雄しべ。花粉を出した雄しべは、らせん状にねじた面白い形をしている。
冬芽は細かい毛でおおわれる。 3月20日
果実は秋に熟すとコブ状に膨らみ、果皮が裂けて赤色の種子が飛び出す。種子は白い糸に吊り下がり、やがて落下する。 10月28日